【R18】Morning Glory Fizz【赤井秀一】
第56章 お化粧
私はこの事を
秀一さんに伝え、
組織の仕事をする事になった
パソコンは秀一さんに
見てもらって何も仕込まれていない事を
確認出来たみたいだ
書斎のいつも秀一さんが
座っている椅子に座り
隣に秀一さんが立つ
キーボードに伸ばす手が震えた
秀一さんが見ている横で
仕方ないとはいえ犯罪を犯す事になる
嫌だ
こんな私を見ないで欲しい
胸が締め付けられる
私は伸ばした手を丸めて
トン、と机の上に置いた
視界がボヤける
目の奥が熱い
思わず下を向いた
静かにこぼれ落ちる雫は
スカートの上にシミを作っていく
赤「葵…」
ぽん、と肩に手を置かれた
赤「葵、こっちを向くんだ」
見て欲しくない
見られたくない
私は俯いたまま首を横に振った
しかし無理矢理、顎を掴まれて
秀一さんの方へ向かされた
秀一さんの長い指先が
涙を拭う
だけど私は
いっぱいいっぱいになった気持ちに
対処しきれなくて秀一さんの
手を払い除けた
赤「葵っ…」
再び俯いて
ぽつぽつと口から言葉が溢れ始める
『ねぇ…秀一さん…
…秀一さんが組織にいた時
どんな気持ちで与えられた任務を
熟していたんですか…?』
私は秀一さんみたいに
FBIでも何でもない
ただの一般人
沸々と湧き上がる気持ち
組織に対する怒りに
胸が張り裂けそうになる
『…私はただ秀一さんを
大切な人を守りたかった…
それだけなのに…
…なんで…こんなっ…』
赤「もういい、やらなくていい」
『だめっ…やらないと、
私がやらないといけない…』
秀一さんは椅子を横に向けると
しゃがみ込んで私の顔を覗き込んだ
『やだ…みないで…っ…お願い…』
こんな私を見ないで欲しい
黒く染められる私を見ないで…
私は両手で自分の顔を覆った
赤「葵、もういいから
何もしなくていいから…」
ゆっくりと手を顔から剥がされる
私は秀一さんの顔を見れなくて
目を固く閉じた
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