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【刀剣乱舞】癒したり癒されたり

第1章 小狐丸の場合



「・・・おや、ぬし様。大変です。こんなに御足が冷たくなっておりまする」

「最近寒くなって来たから、結構ここの床って冷たいんですよね」

「・・・ぬし様。今度はこの子狐がぬし様にお礼をする番でございます。」

「え?」

「さ、ぬし様。ここへおいで下さい。この子狐が温めて差し上げましょう」


ポンポンと促されたのは、小狐丸さんが座っている足の間。


「え、ちょ、ちょっとそれはさすがに・・・」

「早くしないと、ぬし様の身体が冷え切ってしまわないか心配でたまりませぬ」


眉目秀麗の顔立ちで、そんな困った顔をされると断れない


「わ、わかりました・・・失礼します・・・」


そっと小狐丸さんの膝の中にちょこんと入り込む様な形になる。


辺りには、遠くからの虫の声、それと、風に木が揺らされているような音以外殆ど何も聞こえない静かな夜だった。


「おお、こんなに冷たくなって。それなのに毎晩こんなに遅い時間までお仕事をなさるなんて」


内番姿のままだとさすがに彼も肌寒いのか、小狐丸さんは出撃の正装に似た色の羽織を着ていた。


その羽織を広げ、私の身体を暖める様にまるで二人羽織のような姿勢になる。


「小狐丸さん・・・今日の戦・・・ごめんなさい。負った傷は痛かったですよね・・・?」

「それが刀剣の宿命なのでしょう」

「いや、そうじゃなくって・・・痛いのは、嫌・・・ですよね」

「ぬし様?何かお悩みでも?」

「うん・・・私、最近自分の力不足を感じてる・・・。もう少し、私に戦に関しての知識があれば、今日みたいに皆が怪我してくる事、無かったんじゃないか、って。私の判断ミスで怪我を負わせてしまって・・・」


言いながら私は身体をエビの様に丸めて行った。
言葉にすれば、余計に自分の力不足が突き刺さる。

ふと、背中を預けた小狐丸さんが、丸めた私の背をぎゅっと抱きしめた。
背中越しに体温が伝わる。

鼓動まで伝わってしまいそうだ。
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