第12章 ◎代用品-雅紀-side
「あ"~ばっかやろ~!」
この子清純派女優なんて言ったもんだ。
さっきから歌ってんのはヘビメタだし、
途中で暴言吐き出すし(笑)
'人生上手くいきませんよねぇ'
その意味が彼女の今の姿から読み取れる。
歌い終わって俺の隣に座ってくる香織ちゃん
なんだか距離が近くて、
あーあ、相葉くん心臓がドキドキしてる。
「私、清純派女優なんて言われてますけど
全くですよ。まーったく!
性格なんて男っぽいし雑だし……
なのに……なのに勝手にキャラ作られて
そのせいで悪口もいっぱい言われて……」
この子、なんだか俺に似てる。
俺も実際誰にでもスマイル相葉ちゃん
そんなのやっぱりキャラだから
泣いたり、怒ったり、当たり前にするよ。
「……………でもさ、応援してくれてる人も
中にはたくさんいるわけでしょ?」
「え?」
「…………俺だって悩んだときあったけど、
いるんだもん。たくさんのファンの人が
こんな俺でも好きでいてくれる人がさ?」
いつのまにか香織ちゃんの前なのに、
涙を流してる自分がいた。
「相葉さん………………ありがとう」
それは一瞬の出来事だった。
香織ちゃんと俺の唇がゆっくり重なった。