第10章 ◎傘は差さないで
そう言うと'やっぱやめた'って
途中で止めて玄関に向かった雅紀
私は様子が気になって追いかけた。
「ねぇ、どういうこと?ねぇってば!
なんかあったの、雅紀」
靴を履いてる雅紀にそう問い詰めると、
雅紀はこっちを向いた。
「本気で好きじゃないよね?」
「は?そんなわけ、ない、でしょ?
好きに決まってる、じゃん」
「………………なんでだよ」
なんでってどういうこと?
なんで雅紀がそんなこと言うの?
「なんであんなやつと付き合ってんの?
止めなよ!絶対後悔するから!止め……っ!!??」
雅紀が左の頬を押さえてる。
そこは少し赤くなってて、
私の右手も少しジンジンしてる。
そっか。
私は雅紀のことを叩いたんだ。