第10章 ◎傘は差さないで
「そろそろ帰るかな、俺」
LRRRRRR....
「あ、ちょっと待ってね?」
雅紀が帰ろうと立ち上がったとき、
私の携帯の着信音がなった。
電話の相手は'裕典'
「もしもし?どうしたの?」
〈今日さ、早く終わるから
今日こその家行ってもいい?〉
「え?…………あ、う、うん」
〈どうした?〉
「う、ううん?
ご飯作って待ってるね」
〈うん。わかった。じゃあな〉
通話を終えて上着を来てる雅紀のところに
戻って座った。
「誰から?」
「え?あ、裕典から
今日こそ家に来れるみたい」
そう言うと雅紀は少し動きが止まって、
溜め息を少しついた気がした。
「………………好きなの?」
「え?……裕典、のこと?」
そう言うとゆっくりと頷いた雅紀
どうしたんだろう。様子がおかしい
「なんで?医者だから?優しいから?
それともあれ?お金が目当てなの?」
「え、ちょっと雅紀!どうしたの?」
「どうしたのってこそ……」