第10章 ◎傘は差さないで
仕事は夜かららしくて、
せっかくだから珈琲でも入れてあげた。
「ヒャハハ……なーんか俺ら大人になったんだね」
「え?(笑)……そうだよ、大人になったんだよ」
え、なにこの沈黙
なぜか勝手に胸がざわつく
理由は分からないけど
「大人になったらさ……我慢しなきゃだめ?」
「え?ちょっと……雅紀どうしたの?」
雅紀が真剣な顔でそう言って、
私の手首をグッと握ったから少し構えた。
でも、その力はすぐに弱まって
力なく雅紀はニコッと笑った。
「……ご、めん……なーんか変だね俺」
なんて言いながら頭をワシャワシャとかいて、
またヒマワリみたいに笑う。
「あ、そ、そういえば!松本さんにね?
昨日、友達の結婚式で会ったの」
思わず、かき消すように話をそらした。
「え?!松潤と?!へぇ…驚いたでしょ(笑)
あんなに濃いのいたら目立つだろうなぁ」
「うん(笑)
あ、写真あるからちょっと待ってて」
そう言って急いで写真を取りに、
違う部屋に行った。