第10章 ◎傘は差さないで
ガチャっ
「い、いらっしゃい」
「う、うん。お邪魔、します!」
雅紀と私は何だか緊張してて、
おかしいくらいカチカチになってた。
雅紀が私の家に来たのは、雅紀のお母さんが送った野菜のおそそわけをするため。
「はい、これね?」
「う、わっ……こんなにいいの?」
雅紀がキッチンに段ボールを置いて、
'いいの、いいの'って言う。
「っつーか、おしゃれな部屋だね。
やっぱりさ、その…………裕典さんも来るの?」
なんでそんなのこと聞くのだろう。
なんて思ったけど、
「ううん。
なんか最近あっちも忙しくて、
伝えてはいるんだけどね。ふふ」
え?なんで……悲しい顔、するの?
「そっか…………」
「……う、うん」