第2章 ◎動き出す時間
人は違えども、
あのプロポーズから25年も経った。
もう私も雅紀も30代
あの日から若干止まっていた時間が、
裕典のプロポーズによって動き出した。
ガチャっ
ドアを開けてくれた裕典が、
私のことを見てニコッと微笑む
「いい返事……待ってるから」
「…………うん」
「ん、おやすみ」
こんな優しい人いるんだろうか。
いつも家まで送ってくれて、
私が家の中に入るまで見守ってくれる。
病院でも人気の彼
仕事もできて、そんな素敵な彼からの
素敵なプロポーズを断る理由は、
ないはず。
「お、じゃん!」