第2章 ◎動き出す時間
'大人になったらさ?結婚しよーよ!'
人生初のプロポーズはそんな言葉
ま、そんな子供の時の思い出なんて…
誰が本気にするのだろう。
「、聞いてる?」
「……え?あ、ごめん。なに?」
「……なに、考え事?」
私の前に座る紺のスーツをピシッと着た彼
私の恋人の【裕典】
病院で内科医として働いてる彼とは、
私が盲腸で入院したときに知り合った。
「だからさ、結婚……してほしいんだ。」
これが、プロポーズってものだ。
雅紀に心の底から言ってあげたいけど、
実際このプロポーズにピンときてない。
「返事、は?」
「………………させて、くれない?」
「え?」
「考えさせて、くれませんか?」
あの時みたいに、
いや……小さかったから確信はないけど、
あの時みたいにドキドキしなかった。