第8章 ◎最悪なヤツ-雅紀side-
「っ!」
家を出るとちょうどが
車に荷物をつんでいた。
俺の声で振り替えるの
結んでる髪の毛がサラって鳴った気がして
甘い香りがする気がして、
「ん?あ、雅紀」
可愛い、って思った。
「やめなって」
「え?」
「引っ越すのやめなって!」
俺の大きな声に彼女はビクッとして、
周りをキョロキョロし出した。
「いや……えっと、なんで?」
なんでって……なんでって、
それはアイツが……裕典さんが……
「………………ごめん、なんもない」
言えなかった。
アイツが浮気してるなんて……
可愛い、この子が泣きそうで言えない。
「雅紀、私……東京に引っ越すの」
「うん…………そっか」
「独り暮らしなんてドキドキだよ」
え?
'ヒトリグラシ'?
「…………よ、かったぁああ……」