第8章 ◎最悪なヤツ-雅紀side-
思わず膝を地べたについてしまった。
だって独り暮らしだったんだもん
アイツと同棲とかじゃなかったんだもん
「ちょっと大丈夫?なんかあったの?」
「い、いや……だ、大丈夫
つーか、すんげぇ嬉しい。よかったぁ!」
そう言って近寄ってきたに
満面の笑みで顔を見せてあげると、
もすごく笑顔になった。
こんな子を泣かせるようなことできない。
でも、いけないことなんだよ。
浮気なんて許されないんだ。
でも、俺にはそれを伝える勇気も
それを言って彼女を泣かせることも、
それを見ることも、できない。
「雅紀?」
「最悪だよね……」
そんなの最悪だ。