第8章 ◎最悪なヤツ-雅紀side-
カラン♪
〈いらっしゃいませ〉
実家に帰る前に母ちゃんが食いたがってた
人気のスイーツとやらを買うことにして、
あるお店に入った。
もちろん変装してね?
お店の中がすごくカラフルで可愛くて、
やっぱ母ちゃんも女なんだなって思った(笑)
〈ねぇ!これ超~!かわいい!〉
〈ん?買ってやるよ、何個でも〉
〈もう……大好きっ!〉
なんてカップルの声なんかも聞こえて、
きっとスイーツって心も落ちつかせるもので
今の俺にもピッタリかなって思った。
〈でもいいの?裕典〉
〈いいよ、あいつのことだろ?大丈夫〉
ただ、その名前と声には
なぜか心が凍りつきそうになって、
固まる体をゆっくり動かした。
「……っ!」
真っ白なセーターを来た女の子の隣に、
ニヤニヤしているのは、
恋人繋ぎをしているのは、
の彼氏であり、
プロポーズをした彼だった。