第5章 ◎昔みたいに
車のナビに雅紀の住んでるマンションの
住所なんかを入力して出発した車
結局、私の負けで雅紀の家に行くことになった。
隣では雅紀が鼻歌を歌ってるし、
確かにこうしてると学校帰りみたいで懐かしい
「ん?」
「え?あ、うんん」
「あ!青になったよ!」
私の視線に気づいてこっちを見た雅紀が
信号の色の変化に気づいて私にそう言った。
「わかってるって(笑)うるさいなぁ」
「わかってなかったって!
今ごろね、絶対プップーってされてるよ?!」
「はいはい(笑)」
雅紀もそう思ってくれてるかな?
昔みたいだね。って
「さ、なんか……綺麗になったね」
「…………は、は?は?え、なに、急に!」
雅紀が急にそんなこと言うもんだから、
思わずブレーキをかけそうになってしまった。
たぶん今、汗がすごいだろうし
顔もだいぶ赤くなってるんだろうなぁ……
「ヒャハハ!だいじょうぶ?」
「もぉ、ちょっと……冗談やめてよ」
なんて言った後に変な沈黙が続いて、
思わず雅紀の顔をチラッと見た。
「雅紀?……どうしたの?」
「…………冗談、じゃないよ」
その時、雅紀が真剣な顔でそう言ったのは
一生、胸に秘めておこうと思った。