第4章 ◎一生のお願い
さっきからいろんな芸能人が行き交う、
こちらテレビ局でございます。
時間をかけてやってきましたよ。
このブリーフのために(笑)
とりあえず雅紀に連絡してみた。
〈あ、着いた?!すげぇ!
ヒャハハ、じゃあね……え?……どうかなぁ〉
雅紀は誰と喋ってるのだろう。
さっきから誰かを通して話してる。
〈が、楽屋まで来てくんない??!〉
「来れないの?」
〈ん?……うん、結構〉
「…………わかった。どこか教えて」
雅紀の声に不思議そうに思いながらも、
彼の案内を真剣に聞いて歩き回った。
〈そうそう。そこを右ね?うん〉
「雅紀、ここ行き止まりなんだけど」
〈え?ヒャハハ……まじ?(笑)〉
「もぉ……ん?」
〈ん?〉
なんか雅紀の声が近い気がする。
そんな気がして、
辺りをキョロキョロしてみると、
「あ、」
〈ん?わかった?!〉
「うん。あ、あった」
ドアに貼ってある。
【嵐様】って
知ってたのにな。
分かってたのに。
雅紀がアイドルってことも
雅紀が遠い存在だってことも
なのに今さら手が震えてる。