第16章 ◎それはやっぱり-雅紀-side
「……え?」
キョトンとしてる顔も、
どういうこと?意味がわからない。
そんな顔だって今の俺には意味がないんだ。
「香織ちゃん、ごめん
香織ちゃんとそんな関係にもなりたくないし
きっとね?そのうち君を泣かせちゃうから俺」
「それでも……それでも、いいの」
「俺は嫌だよ。そんなの嫌だよ」
こんな可愛い子が俺のことを好きで、
でも俺は幼なじみのあの子が好きで、
あ、そっか。
リーダーが言ってたのはそういうこと?
ある意味貪欲かもね'って、
違うか。
どっちも欲しいって思ってるのに、
どっちも取れないって良い人ぶってる
そんな俺が'ある意味貪欲'なんだ。
「…………貪欲になってみる」
「え?」
「…………香織ちゃん、ありがとう」
「……なんで……お礼なんて言うの?」
「君のおかげでやっとわかったから。
大切なものが全部見えたから。
香織ちゃんと出会えてよかった。」