第16章 ◎それはやっぱり-雅紀-side
「香織、ちゃん」
俺の後ろにはサングラスを外した、
高いヒールのブーツを履いてる香織ちゃんが
にこっと可愛く笑って抱きついてきた。
「相葉さん、今日……泊めて?」
「…………だめだよ。お家帰りな?」
「…………どうして?」
そんな可愛い声で言われても、
なぜか今日は通用しなかった。
だって酔っぱらったの、
甘い声の方が俺をおかしくさせたから。
あのまま襲ってたかもしれない。
あのままキスして、部屋に連れ込んで、
それから、
「…………好きな人ができたから」
それから、
好きって言うんだ。