第24章 まだ手は出さない…お前から求めるまでは、な。
「暫くこうさせろ」
「………」
胸に感じる彼の鼓動がどこか安心出来て、エリナも両手をローの背中へ回した。
「……あの」
暫く黙っていれば私の下半身を撫で回す感触。
「どこ触ってんの」
「尻」
あわよくばローの手は私のお尻をいやらしく撫で回していた。
「ッ、ちょっと!」
エスカレートするその行為に流石に黙っていられなくてローの胸へ手を押しやり離れようとするが、馬鹿力かピクリとも動かない。
そして、ローの手が私の太腿の内側へ近づいた。
「やっ…ッ」
自分の声とは思えない恥ずかしい声が漏れる。
やめてほしいのにやめてくれなくて、気持ちとは裏腹に声が出ちゃうから私はローの肩に顔を埋め声を殺した。
「聞かせろよ」
それに気付いたローは、今度はエリナの胸へ手を伸ばした。
「あっ、やだ…ッ」
丸い膨らみを包む様に手の平を這わせてから柔らかいそれをゆっくりと揉みしだき、服の上から尖端を指で遊ぶ。
「あっ…ま、待って…ロー!…そ、その…色々心の準備っ、が…ッ」
この後の待ち受ける展開を予想してエリナは焦る。
ローは小さく笑った。
「ふ…そんな事言う女はお前が初めてだ」
「わっ、悪かったわね…あんたが思うより私は淑女なのよ」
「知ってるさ、処女」
「なっ⁉」
耳元で囁かれたその言葉。
エリナは顔から湯気が出る思いだった。
「なっ、なっ…なんで、知って…⁉」
穴があったら入りたいとは正にこういう時だ。
「キスさえ初めてだった女がよく言うもんだぜ」
ローの顔は至極愉快そうな上機嫌な。
「〜〜〜!!」
声にならない声で、睨みつける。
するとローは胸やお尻を触る手をぱたっと止めた。
「まだ手は出さない…お前から求めるまでは、な」
言って私の口に軽く触れるだけのキスをして、あっさりと体から離れた。
そして、シャワールームへと姿を消した。
「はぁ……」
私は全身力が抜けて、その場へ頼りなく座りこんだ。
ローに触れられた所が、熱を持ってジンジンと熱かった。