第33章 私、ローの事諦めてないから。
それは突然やってきた。
感じる気配。
纏う空気が色を変える。
注意を払い自室を後にして。
警戒しながらその気配まで近付くと、そこにいたのは綺麗な女の人だった。
「ちょっと〜そんな敵意剥き出しで来られても…安心して?私はローの友達よ」
「?」
甲板に広がる光景。
それはエリナが想像していた物とは違った。
「エリナ、安心しろ。敵じゃねぇよ」
そこには船の淵に腰掛け足をパタパタと振る女の人とローを初めとするクルーの姿が。
女性は私を見た途端ニコッと優しい笑みを向けてきた。
「初めまして、魔女さん?」
「あ…えーっと…」
辺りを見ても船などはない。
この人どうやってここに?
ローが言うように皆親しげに接している事から敵ではないと知り安堵するも、状態が飲み込めなかった。
「ロー…この人は?」
「古い知り合いだ」
「そうなんだ」
こんな綺麗な人、初めて見る。
それがその女性への印象だった。
「新聞見たわよ、ローったらこんな可愛い子連れて、全く幸せもんね」
「うるせぇよジュリア」
ジュリア。
エリナはその名を知る。