第28章 え、そう?喋る熊よりマシじゃない?
「ちょっとペンギン⁉大丈夫⁉」
泡を吹き始めているペンギンの頬を高速で平手打ちする。
「あ…ああ…ちょっとこうして実物前にすると…いや、待てよ⁉これお前が⁉」
この世に戻ってこれたペンギンは頬に真っ赤なモミジを飾って驚愕した。
「せやで、これあんたの願いやったろ?これで信じてもらえるやろか」
「…最高っす師匠」
「オイ!てかペンギンの願いこれ⁉」
エリナは自分が纏うチャイナドレスを見て呆れた。
「うん、もうその赤色でギリギリスレスレまで入ったスリットとか超最高」
目をうるうるさせて親指を突き立てるペンギン。
「ま、お前はラッキーやな。俺もそれ見たかったから叶えやったんやで?」
「グルかお前らは!」
つかぬ間の実現に、とても良い子には見せられないような顔で鼻の下を伸ばしているペンギンを横にしながらエリナはランプの力を目の当たりにし内心驚いていた。
「俺もまだ見ていたいから願い事決まるまでお前さんそれ決定な」
「はぁ⁉」
「流石っす師匠」
「ふざけないでよ早く戻して!」
「なんやいいやんか〜、よう似合っとるし俺かて久々の美女をもう少し拝んでたいわ。ちっとは男のロマンを分かってくれや」
うんうんと首を頷かせ激しく同意しているペンギンを見てエリナは溜め息を吐いた。
何がロマンよ。
格好良く言っても変態じゃないあんたら…
「全く…願い事考えればいいんでしょ?期限とかないの?」
呆れつつもランプに問う。
実は全く興味がないと言ったら嘘になる。
子供の頃から好奇心は旺盛だ。
「よ〜く考えるおなごも、サクッと決めるおなごも、ま〜様々やから期限はないで」
「…分かったわ、…本当に何でも叶えてくれるの?」
一つ息を飲んでランプを見つめた。
チャイナドレス姿の自分が映れば似合ってなくもないなと、満更でもないのは心に秘めておこう。
「せや、何でも叶えてやるわ。一つだけな?」