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医者と魔女

第26章 悪りぃがとまらねぇ。








ぼんやり目を開けると、
ローの匂いで包まれていた。

気持ちいい…
もうちょっとこのままで…

また目をつむり夢の続きでも見ようか…。




いや!違う!



がばっとベットから身を起こし辺りを見回す。

そこは自分の部屋じゃないし、同時に下腹部に起こる鈍痛に顔が歪む。

「痛…」

だんだんと昨夜の出来事がフラッシュバックしてきて。

「………」

隣を見ればローの姿はなかった。

そして布団の下を覗くと全身すっ裸の自分。
時計を見れば昼を指していた。

「うわ⁉最悪だ…」

状況にたじろいてしまって、とりあえず辺りに散らばる洋服を着るも部屋から出るのは容易ではなかった。

「いててて…」

下腹部に襲う痛みが半端でなくて。

参ってしまう。

しかも鏡を見ればあちらこちらに咲く紅い花。
犯人は言うまでもないローだ。
昨夜の情事を物語っていて顔から火が出そう。

狼狽えていると、扉を開ける音がした。


「やっとお目覚めか、寝坊助さん」

腕を組んだローがこちらを見ていた。
相変わらず表情は何を考えているのか読めない。


「っ…!」

ローを見た瞬間、全身熱くなるのが分かる。
目が合わせられない。

「安心しろ…飯はジャンバールに任せた。エリナは体調が悪いと言ってな」

憎いくらい用意周到。
しかし助かったのは言うまでもなくて。

「あ…ありがとう」
「………」

全く情けない。

このっ!

気合いを入れてベットから立ち上がる。

だが虚しくもやはり鈍痛が襲う。

「っ…」
「無理すんなよ。昨日あれだけ乱れちゃえばなぁ?」
「っ⁉⁉」

ローが側まで近づいてきて、隣に腰掛けベットが軋む。

「ちょ…」

憎いくらい整った丹精な顔立ちが近づいてきて真っ直ぐこちらを射る藍色の瞳から目が離せない。
頭の後ろに手を回されれば、その口付けを拒む事など出来なかった。
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