第3章 LOSER【R18】
…………可愛い!
バスルームで抱いてくれと強請る『有希さん』が堪らなく可愛いんだ。
そう、それは正しく主人に愛されたいと全力で懐く愛玩犬のようで、こんな姿を見せられたらきっと誰だって骨抜きにされちまう。
初対面の俺ですらがそう思うんだから、バニーがどうしようもなく『有希さん』を可愛がるのは当然だよな。
だって……こうさせたのは……バニーなんだろ?
「ふふ……そう言うと思ってました。
さっきバスタブのお湯を入れ替えて来ましたから
………行きましょうか。」
「うんッ!」
喜んでバニーにしがみ付く『有希さん』
そんな『有希さん』を抱き上げて、バニーはバスルームへ向かう。
まるで俺の存在なんか忘れちまったみてーに。
俺が捨てられた仔犬のように打ち拉がれて俯いていると、バニーは俺の横を通り過ぎる瞬間……
甘く響く声で囁いたんだ。
「愛されたいなら、そう言わないと……
思ってるだけじゃ、伝わりませんよ。」
それでも固まったまま動けない俺。
俺はどうしたい?
そんなの決まってる。
けどさ……『そんなの』自分の口からなんて言えねーよ。
だって『そんなの』口に出しちまったらさ……俺は……
バニーと『有希さん』が入って行ったバスルームから、バシャバシャと激しい水音が聞こえて来る。
どんな行為が始まったのかなんて、簡単に想像出来るけど
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッッー……」
唐突に響き渡った『有希さん』の絶叫に、俺は弾かれたように動き出した。