第2章 愛はどこに【R18】
彼女は……知佳さんは、いわゆるマゾヒストだ。
何度もこんなことを繰り返しているらしい。
最初は、ただの“浮気”だと思っていたことも。
だけど、それが“性癖”だと判ると……
そんな彼女でも、心から愛している自分がいたことに気付き
彼女の悦ぶことをしてやりたい……
愛しているから、と……
子供が産まれてからも、変わらない自分の性癖に悩んだ彼女は、何度も自殺未遂をしたらしい。
だけど、そらすらも快感に変えてしまう彼女に、さすがに旦那さんも不安を覚え……
長期の撮影で家を開ける機会があり、まぁ……
今回の事があった、ってワケらしい……
けど……
「彼女はね……いつも秘密を守れる男を探すんですよ……僕の事を考えて……そして……
他に愛する人がいる男を……」
「他に……?」
「えぇ。決して自分に本気にならない男をね、選ぶんです」
…………
「俺、数年前に妻を亡くしてるんです……」
ボソッと俺が呟くと
「違うな。過去に囚われてる相手じゃないな。他にいるんじゃ?」
「…………」
正直、思い当たるフシがねぇ。
俺が黙っていると
「彼女の勘はね、恐ろしい程に当たるんですよ」
ニッコリと笑って言う旦那さん。
………………
「あの、……とりあえず、俺はもう……」
二度と知佳さんとは会わない。
この二人は余りにも、危うすぎる……
そんな俺の気持ちを汲んでくれたのか、旦那さんは
「ありがとうございました。彼女に付き合ってくれて」
手を差し出してきた。
俺はその手を、固く握りしめると
二人の家を後にした……