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イケメン戦国~天下人の妹になる気はないか~ 番外編

第6章 雪の日のお迎え


4月。
桜が咲いて、春真っ盛り、の筈が...

(...何故雪が降る)

辺り一面薄紅色になっている筈の安土の街並みが、何故か真っ白に染まっている。

何時もの如く、他国へ密偵に行っていた光秀は季節外れの大雪に思わず顔をしかめた。流石の光秀も、雪が降る事なんて全く想定していなかったのだから着ている着物だって春物だ。傘も無いから頭から雪を被ってしまっている。寒い。

年中賑わっているが、特にこの時期は大賑わいになる市も人影すら見受けられない。遠くに見える安土城も白く雪を被っている。

(...ん?)

その人影すらない大通りに、小さな何か。

(子ども、か?)

自分の腰元にも及ばない位のその小さい子どもは、その身体に見合わない大きな傘を差していた。

(...親の迎えか)

突然の雪に見舞われた親でも迎えに行くのだろうかと思ったその時だった。

「みちゅしゃん!」
「は?」

突然その子どもに呼び掛けられて驚いてしまった光秀だが、すぐに気を取り直した。自分の事を知っている子ども、ましてや自分を「みちゅしゃん」と呼ぶ人物は一人しかいない。

「雪月!」

思わず駆け寄り、目線を合わせるようにしゃがむ光秀。すかさず雪月が傘を差し出してくる。以前誘拐事件(本編第11章「ゆーかい」を参照)があってからというもの、秀吉の目が厳しくなっている筈の雪月が、何故?

「まえ、みちゅしゃんに、おしえてもらったみち、とおった!」

「みち」、とは、以前光秀がふざけ半分で雪月に教えた抜け道のことだった。

「一人で来たのか?」

雪月の周りには、秀吉処か人の気配すらない。

「...だって、」





「みちゅしゃん、おむかえ、したかった、の」






(...お前は、)

愛しさが溢れ、思わず目の前の小さな身体を抱き締める光秀。何時から外に居たのだろう、その身体は冷たかった。
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