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イケメン戦国~天下人の妹になる気はないか~ 番外編

第6章 雪の日のお迎え


「...ありがとう」

自然と口から出た言葉を伝えると、雪月は可愛らしく頬を染めた。

「秀吉にばれる前に帰るぞ」
「あい!」

雪月を抱っこし、彼女には大きすぎる傘を持ってやると、雪月は小さな手で、光秀の頭や肩に積もった雪を払い落とした。そして...,

「ん?」

何かを首に巻き付けられる感覚。見ると、薄黄色の襟巻きが自分の首に巻かれている。

「しゃむく、ない?」

心配そうな顔で見つめてくる雪月。先程まで雪月が巻いていたのだろう、とても暖かかった。

「寒くないぞ。とても暖かいな」
「ふふっ」

ありのままを伝えてやれば、雪月は可愛らしく笑ったのだった。







安土城に戻ってみれば、想像していたこととは違い、誰も慌てて居なかった。

(雪月が抜け出したことに気づいてないのか?)

何時もお節介な程に世話を焼く秀吉が何故気付かない、そう思った時だった。

「光秀、お前また無断でどっか行ってたのか!?」

聞き慣れたお節介な声。振り向けば、秀吉が腕を組んで立っている。

「こんな大雪の日にそんな軽装で外出たら風邪引く、だろう...が...」

お前は俺のオカンか、と思わず言いたくなるような説教がだんだん尻すぼみになっていき、表情も般若から驚愕に変わっていく。その目線が自分の腕のなかに向けられていることに、思わず光秀は笑ってしまった。

「雪月?!お前、何で、部屋で寝ていたんじゃ...」
「てへっ」

どうやらこの腕の中の子狐は意外と頭が回るようだ。大方、例の不可思議な術で幻覚でも見せるようにしたか、分身でも作り上げたのだろう。

「お前、一体どんな手口を使ったんだ?」

わたわたしている秀吉を尻目に雪月にこっそり聞けば、

「ないしょ」

と言って笑う雪月に、思わず光秀も笑ってしまった。

「...みちゅしゃん、」
「ん?」
「おかえい、なしゃい」
「...あぁ、ただいま」

(...突然の雪も、案外悪くはないものだな)




その後、「そのままだと風邪引くぞ」と秀吉に雪月もろとも湯殿へ連れていかれ、上がった後もあれやこれやと世話を焼かれる羽目になろうとは、光秀は全く思っていなかったのだった。


Fin
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