イケメン戦国~天下人の妹になる気はないか~ 番外編
第5章 秀吉の暴走
…まさか、光秀に傷を負わせたのは実は雪月だったなんて、この時は考え付かなかったんだ。
…で、今に至る。
「ひーでーよーしー、一回止めれ~」
「何でだ」
「何でだじゃねぇよ。今殺してみろ、誰が雪月を狙ったのかわかんなくなるぞ。そんなんじゃ対策も立てらんねぇ」
「…チッ」
おおぅ、秀吉が珍しく舌打ち。コイツ今絶対浪人時代の性格出てるだろ。雪月には絶対見せらんねぇな。
「…で、誰に頼まれたんだ?」
「…ハァ…ハァ…知らない、男、だ」
「どんな奴だ?」
「な、南蛮の着物を着た...若い、男、だ…」
「他は?」
「…見たことない、獣を連れて、いた」
「見たことない獣?」
「…ハァ、く、黒と赤の、狐みたいな、二足歩行の、獣…」
「(まさか)…そいつ、眼鏡かけてたか?」
「いや…かけてない」
見たことない獣と言われて、一瞬佐助かと思ったがどうやら違うみたいだ…つか佐助、確か眼鏡ないと生活出来ねぇって言ってたしな。
「…雪月を拐ったのはお前だけか?」
この質問をした瞬間、男の顔色が一瞬で真っ青になった。
「…い、いや、もう一人いたんだ...けど、」
「けど、なんだ」
「あ、あのガキに、化け物に、ヒィィ!?」
男の首すれすれに刀を突き立てた。
…決定。コイツ殺す。
アイツを『化け物』呼ばわりした時点でコイツは大罪人だ。
それは秀吉も同意見だったみたいだ。
「…言い残したことは無いな?」
「…アイツを、雪月を『化け物』呼ばわりしたこと、地獄で後悔しやがれ!」
既に抜刀していた俺達が男に斬りかかろうとした瞬間だった。