イケメン戦国~天下人の妹になる気はないか~ 番外編
第2章 大人になった君
「これは...キュウコン?」
「球根、ですか?」
「そっちの球根ではないです三成さん。キュウコンはロコンの進化した姿なんです」
「進化って、ぽけもんが一定の条件を満たすと姿が変わるって言ってたやつだよね?」
「その通りです家康さん。この姿に進化する為には、氷の石という道具が必要なのですが...」
「なんだ?」
「氷の石は、南の地方でしか採れない貴重なものです。そんな運良く安土城に落ちて雪月ちゃんに当たるとは、俄には信じがたいです」
「しかし、現に雪月は一夜でここまで成長したぞ?」
「......」
「コォン」
考え込んでしまった佐助を余所に、信長にすり寄る雪月。
「...ところで、」
じゃれついて来る雪月を撫でながら信長が口を開いた。
「これは、元に戻るのか?」
信長の疑問は最もだった。最愛の妹が一夜にして大人へと成長してしまったのだから。
「本来、ポケモンは一度進化すれば元の姿に戻ることはまずありません。ですが、雪月ちゃんは半分ポケモンですし、恐らくこれは一時的なものだと思われます」
「何時元に戻るのかは判らないのか?」
「流石にそれは判らないです...ですが、早くて1日かかるかと思われます」
「...まぁ良い。こうなれば成長した雪月を堪能するだけだ」
信長は開き直ることにしたらしい。ホント適応力高いな。
「では、また何かありましたら呼んでください。では、これにてドロン」
「またね佐助君!」
いつの間にか人間の姿に戻っていた雪月は呑気に手をふった。
「さて...これからどうするか」
信長がぼやいた。開き直ったとはいえ、目の前の雪月は幼子では無い。幼さは残るがれっきとした女性である。
ツンツン、
「ん?」
袖を引っ張られた感覚がしたので見てみると、雪月の白い手が自分の羽織を握っている。
「?どうしっ?!」
信長が上擦った声をあげた。なんと膝の上にいる雪月が突然信長の頬にキスをしたからだ。
「雪月、貴様、何を...」
「?兄様のことが好きだから、ちゅーしただけだよ?」
首をこてんと傾げる雪月。これが幼女時代だったらただ可愛いだけで済むが、今は大人である。