第12章 痕
ぬち、と音を立てて真ん中を指がまた上下する。
急にシーツを濡らすように熱がぽたぽたと肌を伝い、要さんの動きに反応する。
そのカタチがゆっくり進んで、私に入ってくる。
「…っ!!!!」
今まで感じたこともないくらい、強くて甘い衝撃。
「相変わらず、狭いな…」
窮屈そうな楔が、奥を抉り、全てを堪能していく。
「あああぁぁっ!!!」
やっと出せた声は、悲鳴にも近かった。
私が私でないみたいで。
気持ちよさが怖いほど。
抜けられなくなる柔らかな罠のように思えて、怖くてその背中にしがみつく。
「…っ」
「あっ!あっ!いやぁっ!!」
一突きされるだけで、何度も昇ってしまう。
そんな感覚が私を襲っていく。
今まで知らなかった未知のそれがあまりにも怖く、そして、とても期待してしまっている。
「か、かな…さん…!!だめっ、そこ、やぁぁ…!!」
引き抜かれてまた打ち付けられて。
突き刺さるように抉られるように。
やがてそれに溺れていく。
「ひぁぁ…!あぅ、う、あっ、ん、い、いっちゃ…」
「…ああ、一緒に…!」
「ああぁぁ!!あっ!要さん…かな、さん…っ!!」
お腹がぐっと熱くなる。
抑えきれない熱が溢れてくる。
力が入ってしまい、私は要さんの背中に傷を付けてしまった。
そこだけは、何故か鮮明に覚えていて。
苦しそうな要さんの顔に、ドキドキしてしまって。
慌てて謝ったのに、息を整えながら、構わない、と言ってくれたのが凄く色っぽくて。
きゅん、とお腹の奥がむずむずした。
「…っ!!」
はしたないけど、その気持ちを、私はどうにも抑えられなかった。
だから、初めて、口にしてしまった。
「か、要さん……あの、も、もっと……」
「!」
驚いたような顔をして、くすりと笑われる。
その顔に、見惚れてしまう。
楽しそうに指を絡められ、短く返事をされた。
合図もなく、私は……。