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【BRM】太陽と鼠【裏】

第4章 秘


部屋に通されると、まだ怒ってる要さんに退路を塞がれた。
「か、要さん…っ」
「毎日毎日…、なんなんだよお前のそれ」
「ほ、ほんとに、そう思ってるんです……。
今日試合見て…、ますます、そう思いました…。
私とは、住んでる世界が違いすぎるって……」
泣きそうになりながら、堪えて返事した。
声が震えていた。
完全に嫌われてしまった。
行く宛なんて、ないのに、追い出されてしまう。
でも、それでいい。
鼠の私には、太陽の隣は似合わない。

そう思ったのに、要さんは、難なく私を抱き締める。
「!!!」
「大丈夫だろ?」
「は、離して…!」
重たくなったコロンの香りが、ずしりとのし掛かる。
「離さねえし、逃がさねえ」
「な、なんで……」
「顔の傷は治ってる。
痣はしょーがねえ。
でも、顔だけでわかる、お前が普通に可愛いことくらい」
「…っ!!」
真っ直ぐな言葉が、逆にびっくりするくらい恥ずかしい。
「お前があと気持ち悪いって思ってんのは、ここぐらいか」
大きな掌が私のお腹にぐっと下ろされる。
「……」
「図星か」
嫌悪感しかない行為がふと思い出される。
怖くて、汚くて、どろりとしたものが私に入る。
「俺が塗り替えてやったら、そんなことも思わなくなるんじゃねえか?」
とんとんと指でその部分を示される。
「だ、ダメ…!!
要さんは、私の太陽です……。
眩しくて、暖かくて……」
(告白してる、みたいじゃん……)
本音を言うのがこんなにつらいとは思わなかった。
「私みたいな、野鼠が汚していい方では、ありません……」

やっとわかった、気がする。
こんなにも、私が怖く思っていたこと。
私は、要さんが好きで、相手から汚いと非難されるのが怖かった。
だから、自分から言って距離を置いていたんだ。
これでもう、終わる。
うっすらと涙が流れていく。
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