第4章 秘
毎週土日は試合だったりお弟子さんの試合だったりで、留守にしていることが多い。
今週は来い、とかなり強引に誘われてしまい、断りきれずに頷いた。
着ていく服がない、とこっそり買いに行ったはいいものの、案外皆普通の服で落ち込んだ。
(逆に浮いてしまった……)
要さんは本当に綺麗で、もう私の言葉なんかでは言い足りないくらいで、うっとりと眺めてしまった。
もし現代に王子様がいるとしたら、あんな感じなのかな、と。
(あ、でも態度は強引だな……)
凄かった、と帰りの電車でもドキドキしてしまって、降りる駅を間違えそうになった。
乗り換えようと携帯で時間を見ようとしたら、着信履歴が20件ついていた。
(ふぇ!!?)
ショートメールにはがっつり、
『先に帰るな!戻れ!』
とお怒りのメールもきていた。
今更引き返すのも…、と思い、まだそう遠くない今の駅名を伝え、ロータリー近くのベンチに座った。
何分か経った時、頭に衝撃が走った。
「いったぁっ!」
「んで先帰んだよ!!!!」
「え!?だ、だって、見終わったから…」
「普通一緒に帰るだろ!!!!」
「な、なんでですか!?」
「なんかちょっと飯でも食って帰るもんだろ!?」
「ええええ!?
でも、私いたら邪魔かな、って…、だって、パートナーさんもご一緒でしょうし…」
「ったく……、乗りゃあ電車賃タダだろ」
と、バイクを指差される。
「や、このくらい…」
「無駄な金、かかっただろう!!?」
「は、はい、すみません……」
はあ、とため息をつかれ、予備のヘルメットを渡された。
「他のかたは良かったんですか?」
「別に」
「べつに……」