第4章 秘
「か、要さん……」
「そうだ、やっと慣れたか」
「な、……慣れませんっ!」
暮らして数日、要さんは芸能人ではないというのを知った。
雑誌に載ってたからてっきり、という話をすると、綺麗な顔を歪めて文句を放つ。
「ゴシップやらなんやらはまあ、いい、許そう。
ダイエットやらオススメの時短痩せやらの記事関係は最悪だ」
「…は、はあ……」
「コンビニっつーことはどっちかだろ。
専門の雑誌は置いてねえし」
「……なるほど」
という色んな裏事情が聞けたのは少し面白かった。
顔の傷が治るまでは学校に行けないので、ひたすら掃除をして、少しだけ料理を作れるように練習した。
相変わらず仕草一つ一つが綺麗で見とれてしまう。
毎日ずっと緊張している。
慣れないし、ドキドキするし、未だにこんな方にお世話になってるのが信じられない。