第1章 お伽噺のように結ばれたい
「なんだ、もう出来上がってるのかユリア」
全身真っ赤になったユリアに笑って、自分の酒を注文するミケは、ナナバと話し始めた。
初めて会った時、あんなに怖く感じたミケ。今となっては、なくてはならない存在でユリアは「愛してる」と断言出来る程に大好きになっている。
話すミケを見つめていると、ナナバの呼ぶ声が聞こえて我に返った。
「へ、あ、はい?」
「だから、頭痛が酷いから帰るっていったんだよ。また埋め合わせするからさ。ミケも今来たのにごめん」
「いや、体が第一だ。ゆっくり休め」
「ありがとう。じゃあユリアをよろしく、ミケ」
「へ!!? ちょ、ちょっと、ナナバさん!?」
ミケが酒を飲んだ瞬間。ナナバはバレないようにウインクしてみせた。それから謝りながらその場を去るナナバを顔を赤くして見送った。
「すまないな、俺が相手ならゆっくり飲めないだろう」
「いえ、全く! 光栄であります!!」
「おい、そんなに一気に飲んだら……」
「大丈夫です! 大好きなんで!」
「だが良くない。やめておけ」
ユリアの手を制してゆっくり飲むように言ってきたミケ。手が触れただけで身体が熱い。
「……好き……」
「ん、何だ?」
「あ……えっと、はは!何でもありません!すみません!」
危ない。うっかり口が滑ってしまった。ミケは気付いていないようだ。きっと流れ的に酒が好きだってことになってるハズだ。ユリアはそう自分に言い聞かせてミケとの時間を楽しんだ。