第1章 お伽噺のように結ばれたい
「う"ぉ"え"っ……」
「飲み過ぎだ、ほら、ここで口をゆすいでうがいをしろ」
ミケに背中をさすられながら、汲んで来てもらった水で口を十分にゆすぎ、うがいをした。
新しい水も用意されており、ユリアはそれを飲む。
「すみません……王、ミケ分隊長と飲めるとは嬉し過ぎてはしゃぎすぎました……すみません」
「気にするな。そうやって自分の限界をしっていく。若いんだ、無理するなよ」
そういってミケがユリアの頭を撫でた。
何だか、思うことがあった。
「ミケ分隊長は……なんで頭を撫でて下さるんですか?ナナバさんや……ゲルガーさんや、他の方にもされるからですか?」
ふと思い、ミケに聞いてみただけだったが。
「……こんなこと、他の奴らにはしない」
ただそれだけ返事が来て、ユリアがまた意味を問おうとしたが話を逸らされた。
ああ、王子……好きです。ユリアの気持ちは止まることを知らないようだ。
酔いを覚ますために一緒にいてくれとミケにお願いし、二人で話しながら馬術場から行ける、あの小高い場所へと向かうために、二人で馬に乗った。
またユリアはミケの前に座る。酒に酔ったついでに、ミケの胸に背中を預ければ、ミケはそのままの状態で馬を進ませる。背中が暖かい。眠気に襲われそうになりながら漸く辿り着いて、馬からミケが降りて手を伸ばして降りるユリアを抱き留めた。
離れるミケ。だがユリアはミケの腰に手を回して抱き着いた。