第1章 お伽噺のように結ばれたい
ユリアの決意から一年。
元々は訓練兵を5番卒業のユリアも、ミケの分隊の精鋭と言われる程に成長していた。
目の回るような忙しさの中、ユリアの目の保養と活力源はミケ。一年前のあの夕陽の中でのミケの王子様らしさは未だに現役で、30半ばになったらしいがユリアは心の中では「王子」と呼んでいたし、今ではすっかり仲良しの上司部下の関係であるナナバにはミケのことを王子呼びしているのを話していて、今では一年前が遠い昔のような感覚になる程に充実していた。
もちろん壁外調査は怖いが、仲間を信じて進むこと、ミケの存在が、言葉があったからこそユリアは進んでこられた。
「はあー……、王子素敵過ぎますよ……どうにでもして……」
「相当心酔してるね、ユリア」
「当たり前じゃないですか。あんな男性居ませんよ」
「でも最初はエルヴィン団長に惚れたんだろう?」
「それは……まあとにかく今は王子だけです!私、王子になら何されたって嬉しい!抱いてください王子!」
ナナバに連れられて来たのは酒場。
ここでよく幹部に連れられて飲む。ユリアは850年代の勇敢な兵士として、可愛がられている。
「あー……もうカッコイイ……好きが止まりません……」
「あ、噂をすれば。ミケ!」
「えっ!?は!?ちょっ……」
ユリアが顔を上げれば、ミケが手を上げて近付き、円卓に向かい合って座ったユリアとナナバの間になる場所に座った。