第1章 お伽噺のように結ばれたい
ユリアが地面を見ながら歩いていると、目の前にブーツが見えたので顔を上げれば、見覚えのある顔が目に入る。
「ミケ分隊長、おはようございます!」
急いで距離を取り、敬礼するとミケはフンと鼻を鳴らした。
そりゃそうだよね、あんなに泣いたし。ユリアは既にめげた心をなんとか立たせた。
「今日から俺がお前の上官だ。基本は他の奴らが訓練をやってくれる。初日の今日は技量を見る為、俺が訓練を見てやる」
「はい、よろしくお願いします」
そこから、体力を見たりだとか、立体機動の腕を見たりだとか、様々なテストのようなものを行った。
そして馬術の訓練が終わり、ユリアが馬繋場で自分の馬に水を飲ませながら馬を撫でているときだった。
勇ましい声が聞こえるので乗馬の訓練につかう馬術場へと足を進めれば、そこにいたのはミケ。
腰を上げ、足だけの力で馬に乗り、馬に乗って馬との息を合わせる自主練をしている。
日が落ち始め、橙色の景色が広がる馬術場。
ミケの姿はキラキラと魔法のかかったように輝き、乗っている馬も白馬で……
しばらく見とれていると、ミケがこちらに気が付いて馬に乗ったまま走ってくる。
ユリアの近くで馬を止めて髪をかきあげたミケ。