第15章 初恋

全てを話して好きな人に好きだと思ってもらえることが、これほど嬉しいんだって初めて分かった。


恐怖に打ち勝った先には感じたことのない幸せがあった


「多分…いい彼女になれない…」

「俺にとっていい女はお前だけだ」

「それに……あたし……」

なんて言っていいか分からなかった
そういうことができないかもしれないってことを、どう言ったらいいか分からなくて黙ってしまった。

「みさき、ごちゃごちゃ考えんな。俺を好きでいてくれんならそれでいい。それより大事なことなんて俺にはねぇ」









「…お付き合い…して欲しい……です」


なんて言うべきか分からなくてお見合いみたいなことを言っちゃってすっごく恥ずかしい



「お前…やっぱすっげぇ可愛いわ」

抱きしめられた腕にグッと力が入ってぴったりと嵌る青峰君の胸に収まった


心臓がものすごい速さで動いて顔が真っ赤で暑くてどうしていいのか分からない



でも一つ確認しなきゃいけないことが……


「あの…前に好きだって言ってた人の事は……もういいの?」

ここでこんなこと聞くなんて雰囲気ぶち壊しの空気読めなさすぎだって分かってるけど…
あたしは青峰君が一番好きだから青峰君もあたしを一番好きって思って欲しい

もしそうじゃないなら、付き合ってもきっと意味がない…


「お前なぁ…鈍感も大概にしろよな。あれはお前の事言ったんだよ」


「え…?そうだったの??青峰君あたしを買いかぶりすぎだよ」


「俺は本気でそう思ってる。血反吐吐く程辛い思いして今のお前になったんだ。今話さなくても、ずっと言わなくたってよかったのに、俺に全部話してくれただろ。お前は嘘がつけない努力家な女だ」


きっぱりとそう言い切ってくれた。

嬉しくて堪らなかった。

「あの…本当にあたしでいい?」

「お前がいい。いつも目ウルウルさせて照れ屋で鈍感で雰囲気ぶち壊すお前がすっげぇ好き」


雰囲気ぶち壊してごめんなさい。

でもあたしもすごくすごく大好きです


腕を回してぎゅっと抱き付くと大きな手が後頭部を撫でて大きく息を吐く音が聞こえた。





「初恋が実らねぇなんて嘘っぱちだな」


確かに…
あたしの初恋は、色んな人に協力してもらったけどちゃんと実ったもんね…