第15章 初恋
「このことを青峰君に隠したくて、たくさん嘘をついちゃった…ずっとロスだったっていうのも真太郎と知り合いなのも、本当のことが言えなかった……ごめんなさい…」
そんなこと謝んなよ…
あんなこと軽々しく話せるようなことじゃねぇ。
みさきは自分を責めすぎだ。
スーパーマンじゃねぇんだから周りに頼ったり助けてもらったりすんのなんてみんな同じだろ。
それにみさきがされたことはみさきに非なんて微塵もねぇ。
完全に相手の勝手な欲求だ
そんなことでみさきを傷つけやがって
死ぬまでに必ず落とし前つけさせてやる
「みさき、俺が怖いか?」
「ううん。青峰君を怖いって思ったことは一度もない…」
よかった
それだけでなんかすげぇ嬉しいわ…
「これだけは忘れんな。お前に非なんて少しもない。お前は間違ったことなんて何もしてない」
「…」
「今すぐ分かれとは言わねぇ。けどもう自分を責めるな」
小さく頷いて俺を見たみさきの顔はめちゃくちゃ可愛いつものウルウルの目だった。
「あの…長々と聞いてくれてありがとう。ごめんね。せっかく好きになってくれたのに、こんなでごめん…」
目に溜まってた涙がぽろぽろと頬を伝って悲しそうに眉を下げて、謝る必要なんてねぇのに謝って
震える声で小さく呟いた
「だから…無理して好きでいなくて大丈夫だよ」
何言ってんだよ…
すげぇ苦しい思いして、思い出したくねぇこと話してくれたことも、泣きながらでも俺に好きだって伝えてくれたことも、嫌いになれる要素なんてこれっぽっちもねぇよ。
「好きだ。どんなことがあっても。俺の気持ちは少しも変わらねぇ」
変わらねぇどころかもっと好きになった
すげぇ苦しい時でも周りにちゃんと感謝して、生きることから逃げなかったみさきを心の底から愛してる
生きててくれてよかった
「あたし…青峰君を好きでいてもいい?」
「いいに決まってんだろ」
そんな可愛いこと聞いてくんなよ
好きな女に好きだって言われて嬉しくねぇ奴いねぇよ
下唇を緩くかんで少しだけ笑うみさきに引き寄せられるように抱きしめると、猫みてぇに頭を俺に摺り寄せてくれた
でもこいつの鈍感はヤベェ
だからちゃんと言葉で確認しとく
「俺はお前と付き合いてぇって思ってんだけど
…返事くんねぇ?」