第5章 色褪せない想い
side火神
青峰のお袋さんはみさきを完全に俺の彼女だと思ってた。
まさか「あなたの息子にかっさらわれました」なんて言えなくて、否定しないうちに勝手に俺の彼女で話が進むと青峰が思いっきり否定した。
親にまでムキになって否定するとか…
呆れて笑っちまった
青峰とお袋さんは全く似てねぇ
見た目も性格も正反対
デカくて黒くて不愛想な青峰と小柄で白くて愛想のいいお袋さん
みさきもあまりに似てねぇ二人にびっくりしてた
口ではうるせぇとか言ってるけど青峰はちゃんと感謝もしててそれを聞いたみさきが嬉しそうに笑ってその笑顔を見てたらちょっと意地悪してやりたくなった。
「こいつ黄瀬と撮られて週刊誌出るらしいぜ」
俺の言葉にみさきは口をパクパクさせて青峰は視線が一気に鋭くなった
こいつら…顔に出しすぎ
ざまーみろ(笑)
ちょっとしたいたずらが成功して内心喜んでたら青峰の的外れな一言が俺のツボに入った
みさきが黄瀬を好きな訳ねぇだろ‼
知り合ったばっかの時なんかボロクソ言ってたわ
今だって顔の整った子犬ぐれぇにしか思ってねぇよ
みさきと黄瀬は絶対にねぇ
進藤って存在がいなかったとしてもあの二人だけはあり得ねぇ
みさきが完全に否定しても青峰は聞こえてねぇのかまた同じこと聞きやがるからみさきは勢い余って告りそうになって…
最高だ
面白すぎて腹痛ぇ…(笑)
すかさず青峰に好きな人がいるのか詰められて焦りまくって噛んで青峰も噛んだみさきに大笑いして
あーもーこいつをからかうの楽しすぎだわ
青峰を好きと認めてからみさきの見せる表情が増えた。
ホント可愛いやつ…
自分じゃ無意識なんだろうけど、照れたり恥ずかしがったりしてんのが俺にはすげぇ分かる。
無表情だったみさきを知ってるから
あの時感情を読み取りたくて必死にみさきの顔を見てた
何かを感じた時無意識に動くほんのわずかな表情筋の動きだけを見落とさねぇ為に必死だった
怒ったように俺を睨みつける顔も怖いっつーより可愛い。
ホントおもしれぇな
もっとみさきのいろんな表情を見てみたい。
それが青峰を好きになったことでするようになった表情だとしても俺はみさきがいろんな表情を見せてくれるのがすげー嬉しい