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最愛 【黒子のバスケ】

第5章 色褪せない想い


side火神

空港に着いて時期的に夏休みの出国ラッシュなのを思い出し一昨年のことが頭を過る。

一昨年の帰国でパニックが起きて俺も青峰ももみくちゃにされた

だから昨年は青峰も俺も成田を使わず中部に極秘で帰国してチームの用意したハイヤーで自宅まで戻った

それでも今年は緑間の結婚式やら向こうでの仕事やらで成田を使ったけど7月初旬は帰国時期としては例年より遅くて空港内にも人が少なく一部の人にサインを求められた程度でパニックも起きなかった。

出国ラッシュを取材するテレビ局やファンに見つかればみさきがタダじゃ済まねぇ…

ましてや黄瀬との写真が週刊誌に載ることが決まっている今ネットで画像比較をする奴が出てこないとも限らねぇと一抹の不安が頭に浮んだ

とにかく人目を避けるため店に入って奥に座って大人しくしてることにした

人目を避けるっつってもこの空港は年がら年中人だらけ


ちゃんとした昼食は取れなかったものの機内食までの腹ごしらえはできたし少し食休みもできた

搭乗手続きの時間まではここで過ごそうと思ってたけど後から入ってきた二人組の女に気づかれて、それだけなら別にいいけど聞こえてんのを知ってか知らずかみさきの事を色々と言い始めた


神経を疑う

みさきの事なんて何一つ知らねぇくせに

“あれ”なんて言いやがって…


みさきは自分が小柄なことをかなり気にしていて幼馴染の俺でもいじらねぇ
まぁ前に一回からかって、1週間口を利いてくれなくなっちまって焦って必死に謝ったってことはあったけど

もう出ようって言おうとしたら青峰に先を越された

しかもみさきが席を立つのに手を貸したと思ったら腰を引き寄せて耳元で喋ってる

ヤバい…固まってる
とにかくみさきを硬直から解かねぇと…

「じゃ、行くか」

ゆでダコみたいにに真っ赤になってて今にも倒れるんじゃねーかと思って本気で心配した

それでも小さく脚を出したみさきに俺と青峰が歩幅を合わせて外に出た

店から離れて名残惜しそうに青峰がみさきを解放したけど…
がっかりした顔しすぎだろ‼


まぁ青峰はみさきだからああしたんだな…
多分ほかの女ならあんなことはしねぇ

彼女にすらしねぇんだから



それにみさきが何の抵抗もしなかったことにも驚いた
いくら好きになったとはいえ抵抗しねぇのは驚かされた


こりゃ…相当惚れてんな
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