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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


真太郎から借りた本を何冊も読んで、毎日真太郎が病室にいてくれるのが当たり前になった頃、まとまった休みの取れたママが退屈だろうからって持って来てくれたパソコンで読んだ恋愛についての脳内反応。

恋愛初期、人間の脳は大量の脳内物質の分泌によって興奮状態が続き薬物中毒に似たような状態になり、脳内がアドレナリン、ノルエピネフリン、ドーパミン等の化学物質であふれかえっている状態に他ならないのです。


そうなんだ…
あたしは脳内のこんな物質たちの為にあんな目に遭ったんだ。

恋愛って心でするんだと思ってたんだけど、結局脳内がホルモンを大量分泌させて引き起こさせる勘違いなんだ。


くだらない。

今まで恋愛できない自分はおかしいのかと思ってきたけど、あたしは正しかった。
恋愛なんて一時的に脳内が勘違いをするだけのもので、それが満たされなければ憎しみになる。それならあたしは恋愛なんてくだらないものに絶対時間は使わない。



あたしが話すようになってから3日に1回される玲子先生のカウンセリングでも、あたしはこの言葉を何度も何度も繰り返した。

人を好きになることが怖いんじゃない。
無駄だからやらない。
恋愛なんて脳内物質の異常分泌が引き起こす勘違い。
だからそれが落ち着けば相手を傷つけようが死にかけようが何も感じない。
そんな無駄なこと、あたしは絶対しない。

あたしは一生誰も好きにならない


あたしはこの時泣くことも笑うこともなかった。
とにかく無感情でどんなことにも何も感じなかった。

あれ程好きだったメイクができないこともどうでもよくなっていた。


あたしは16歳の時に起きたことで人生を叩き潰された。

頑張ろうなんて気には全くなれなかった。
弱くてずるくてくだらない人間のあたしが傷つくなんてことが間違ってた。
そもそもあたしは最初から幸せになる資格なんてなかった。

あいつの母親だってそう言ってた。

結局あの家族の方が正しかった。

だからあたしは幸せになりたいなんて思わない



入院して1か月
あたしはもうベッドから起き上がることもできないほど衰弱した。

生きる気がないんだから当然で、ママはずっとあたしを抱きしめて“お願いだからいなくならないで”って毎日のように泣いてた
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