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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


大我があたしのせいで試合をすっぽかしたことは当然真太郎は知ってた。

だけどそれをあたしには誰も言わなかった。
言えない状況をあたしが作ってた。


「ねぇ…真太郎。お願いがあるの」

「どうしたのだよ」

この日、あれ以来初めて大我以外と口をきいた。


「大我にシカゴに戻るように真太郎から言って欲しいの」

「あいつの意思は固い」

「お願い……大我はあたしの言うことは聞いてくれないの。大我の邪魔をしたかったわけじゃないのに…大我にバスケを続けてほしいのに、あたしが弱いから大我に甘えたせいで大我がバスケをやめちゃう」

めちゃくちゃなお願いだって分かってた。
でも大我の頑張ってたところを一番見てたのはあたしだったから、ずっと目標だったNBAでやり続けてほしかった。


「力になれるかは分からない。だがやってみるのだよ」

「お願い…あたしはあいつと同じ奪うだけの人間になりたくない」

こんな時でも自分の事を考えているズルい自分も心底嫌いだった。
でも人に自分のわがままをお願いするのに本心を誤魔化し続ける事だけは、どうしてもできなかった



真太郎がどう説得したのかは分からないけど、大我は2日後にシカゴに戻ってくれた。

出国前に病院に来てくれた大我は弱弱しかった

「みさき…頼むからバカな事を考えないでくれ。シーズンオフになったら絶対ぇ会いに来る。頑張らなくていい、でも生きることを諦めるな」

「大我、ごめんね」

「謝るのは俺の方だ。結局俺はお前に何にもしてやれねぇ。あんときも…今も」

「そんなことない。いっぱいありがとうって思ってるよ」


大我がアメリカに戻ると真太郎が毎日病室に来てくれた。

相変わらず食事はほとんど取れなかったけど寝ることはできた。

あたしの病室で難しそうな参考書を読んで、ひたすら勉強して、左利きの真太郎は小指の側がよく真っ黒になってた。


「あたしも何か読んでいい?」

「何がいい」

「皮膚のこととか知りたい」


あたしがそう答えると医学書よりも読みやすいタッチで書かれた本を貸してくれた
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