• テキストサイズ

最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


入院中はよく真太郎もお見舞いに来てくれた。

「みさき、今日は天気がいい。少し外に出よう」

あたしは何も答えなかったけど玲子先生を呼んで車いすに乗せてくれて屋上に連れて行ってくれた。


いっそここから飛び降りてしまいたい
全てから解放されたい

その考えを真太郎に見透かされた。


「みさき、お前が今非常に辛い状況だということは分かっている。だが、生きてほしい。これは自分の身に何も起きず平穏に生きている側の人間の勝手な願いではあるが、お前がいなくなってしまうことは想像しただけで悲しくて堪らないのだよ」


屋上から部屋に戻る途中、患者が家族と会うためのミーティングルームを通った時テレビに大我が映って、無断で試合に出ずレギュラー登録を解消されたってニュースが目に飛び込んできた

見間違いであってほしいと思った。


部屋に戻ってずっと使ってなかったスマホに電源を入れてニュースを確認したけど、見間違いなんかじゃなく事実だった。
1週間以内に本人から連絡がなければ、ブルズは大我との契約自体を解除するって内容が書かれていた。


あたしのせいだ…


あたしが大我からバスケを奪った。
大我があんなに頑張ってたのに、あたしが大我の邪魔をした。


あたしは山本と同じ。
人から大切なものを奪ってのうのうと生きてる。

そんな自分に心底吐き気がした。
嫌いだった自分をさらに大っ嫌いになった。


とにかく大我を戻らせなきゃ。
あたしは大我にバスケを続けてほしい。


その日病室に来た大我はいつも通りだったけど、あたしは辛くて悲しかった。

「大我、シカゴに戻って」

「……戻らねぇ。もう二度と後悔したくねぇんだよ」

「大我がバスケやめちゃったらヤダよ…」

自分が大我をこんな状況にしておいて何を言ってるのかと思うけど、やめてほしくなかった。

「俺はお前が消えちまうことの方が嫌なんだよ。バスケはどこででもできる。でもお前は一人だけだ」

「NBAでやるために頑張ってきたのに、あたしなんかの為に…」

「なんかじゃねぇ…お前は“あたしなんか”なんて軽い存在じゃねぇ。お前だからだ。俺にとってすげぇ大事な存在だから俺はお前がなんて言おうがお前とここにいる」

「そんなのダメだよ…お願いだからシカゴ戻って」

「戻らねぇ」


堂々巡りだった。

だからあたしは真太郎に頼んだ


/ 1719ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp