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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


side青峰

みさきは話してる間一度も涙を流さなかった。
表情も変えずに、起きたことをただただ淡々と話した。

他人のことを話すように抑揚のない感情のない話し方

きっとそうやってねぇと話せねぇんだよな…

いつもキラキラしてウルウルした目は、死んだ魚みてぇに光がなくて、いつも可愛く笑う声は、ただ事実だけを話す機械アナウンスに聞こえた


俺が泣きそうだった。
そいつを殺してやりたくなった。



男に何かされたってことは分かってたけど、俺が思う以上にキツイことだった。

男を好きになれねぇ訳だよな…
自分を好きだっつってた男にそんなことされりゃ鉄壁のガードでガチガチにするしかねぇだろ


火神と緑間がなんでそこを通ったのか分かんねぇけど、あいつらがいなかったら多分……みさきはマジで死んでた。


フリーランスなら顔売ってなんぼなのに、みさきが徹底的に顔を出すのを嫌がるのもそれが原因だったのか…


それに、この事件は特にニュースに興味のねぇ俺ですら覚えてた。
沿線ではねぇけど同じ都内で、桐皇からもさほど遠くはなくて、犯人が捕まらねぇことでさつきのかーちゃんがすげぇ心配してて、行き帰りは絶対ぇさつきと一緒で家に入るまで見届けてた。

暗がりじゃなくまだ明るい夕方の犯行だったけど、ほとんど使われてなかったあのコートは人気はほぼなくて、あいつらがみさきを見つけたことは奇跡に近い


火神がみさきの過去に触れるとき、いつも怒りを浮かべてたことも、後悔してたことも、すべて合点がいった。

そして、みさきと火神の距離が幼馴染だったとしても異様に近いってことも、そんだけのことを二人で経験してきたなら不思議でもなんでもねぇ


緑間と母親がみさきをあれ程守るのも分かる



俺は理解度で火神に勝つことはできねぇ
悔しいけどそれは紛れもねぇ事実だ


だけど火神以上にみさきを愛していく

一生抱けなくていい
けど一生離さねぇ

思い出さなくていいくらい幸せだって感じられるように俺がみさきを幸せにしてやりてぇ。


「メイクがあったから自分を保てたし忘れようって思えた。だけどそのあとあたしは……決定的にダメになった」


火神をシカゴに見送ったってとこでみさきが言葉を切ったからそれで終わりだと思ってた。

まだあるのか…



一体みさきは……

どれだけ辛い思いをしてきたんだよ…
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