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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


それから3日間大我と口もきかなかった。
置いて行かれちゃうってことだけが頭の中にこびりついて離れるってことが怖かった。


それでもメイクをしてる時だけはそれを忘れられるくらい没頭できた。


『ねぇベイビー、メイク楽しい?』

『はい!』

『あたしはあんたに一流になって欲しいの。なれるって信じてるから。あたしのところに残ってくれない?』

優しい声だった。
この間の叱責とは違う言い聞かせるような優しい声であたしに進むべき道を知らしめてくれるようだった。

真っ暗なトンネルの中に一本だけ道が見えた気がした。


『あたし…残ります。BOSSのところでメイク勉強したいです』

『タイガがすごく心配してるわ。帰ったらちゃんと話すのよ』


BOSSは全部分かってた。
大人だからなのかもしれないけど、それよりも何かを極めた人だから分かるのかもしれない。
何かを手に入れるためには自分で歩いていかないといけないって分かっててそれを教えてくれたんだって、意地悪で言ってたんじゃないって分かった。



その日家に帰って大我の帰りをリビングで待ってた。

『ただいま。起きてたのか?寝れる時に寝なきゃダメだろ』

『お帰り。大我、あたしLAに残る』

『それがいい。今の俺じゃお前を連れてっても、お前の事もバスケも中途半端になっちまう。俺もシカゴで頑張るからみさきもこっちで頑張れ』

『うん。たまに戻って来てね』

『おぉ。お前も遊びに来いよ』


そう言ってカギをくれた

『これシカゴのお家の?』

『あぁ。いつでも来い』


3日ぶりに話した大我は相変わらず優しくてあたしを安心させてくれた。

『わがまま言ってごめんね』

『俺の考えが甘すぎた。何も考えずにお前を連れてくなんて軽く言っちまって悪かった。一回離れてお互い自分の事だけに集中しようぜ。俺のメシ作るのも大変だっただろ』

全然大変じゃなかった。
それしかできることがなかったからそうしてただけで大我に依存してる罪悪感を少しでも薄めたかっただけ。

いつも優しい大我にずっと甘えてた




一回離れて自分の事だけに集中する。
一人前のメイクになれたらきっとあたしは何か変われる



そう思った。

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