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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


面会の約束時間を迎えてチームの社長と女性秘書、チーム責任者とチームマネージャーの4人がスーツを着てあたしの病室に入ってきた。


そして最初に全員が無言で頭を下げた。

「答えたくないことは答えなくて構いません。我々は事実の確認の為に参りました」


チーム責任者の人がそう切り出してチームとの話が始まった

「弊社所属の山本の名前が挙がってるということを報道で確認していますが、黒須さんが山本の名前を出したことに間違いはないですか」

「そうです」


「山本がこの件に関わったことに間違いないですか?」

この人たちもどうせ信じない。
あたしが何を言ったってみんな山本がいい子だと思ってるんだから言ったって意味なんてない。

「一体何が聞きてぇんだよ。こいつが答えたらてめーらそれを信じんのか?鼻から信じる気もねぇくせに、こいつの傷抉ってなにがしてーんだよ。……出てけ」


何も答えないあたしをみて、大我の怒気を含んだ低い声が病室に響くと、高校生なのに迫力のある大我に秘書の女性は一瞬たじろいだ。


「言葉が足りずに申し訳ありませんでした。我々は名前が挙がった時点で山本を無期謹慎としており、黒須さんから事実確認が取れれば警察の判断を待たずに契約解除をすることを決定しています。だから我々は事実が知りたい。警察や報道、週刊誌といった不確かな物ではなく被害にあった黒須さん本人から事実をお伺いしたい」


「……私は確かにアナフィラキシーを起こして意識は混濁しました。それでも、意識がなくなる前のことまで忘れたり勘違いしたりはしない。確かにあの場に山本悠斗はいて、手は出さなくても、彼らを主導してやらせたのは間違いなく山本悠斗本人です。」




あたしの言葉を聞いて社長が一歩前に出て深く頭を下げると、他の3人もそれに続いて深く頭を下げた。


「当社に所属するものが大変なことをして黒須さんに一生の傷を負わせてましう結果となり、大変申し訳ありませんでした。謝ってどうにかなることではないと承知しておりますが、我々としてできる謝罪を精一杯させていただきます」

そして、その後も数秒間、誰1人として頭をあげることはなかった。

警察も世間もあたしを信じてはくれなかった。
でも何故か私とは何の繋がりもないサッカーチームは私を信じてくれた。
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