第14章 黒須みさき16歳
もう学校に戻る勇気はなかった。
すぐにでもロスに戻りたかった
それでも、傷が深かったせいですぐに退院はできなくて、見なければいいのに毎日ニュースやワイドショーを見て自分の事件を他人事のように見てた。
目が覚めた日はあれが現実だったのかさえ分からなくて、人ごとのようだったけど、痛み止めを飲んでも薄れることの無い太ももの傷の痛みだけは、あれは自分に現実に起きたことだってあたしに突き付けてるようだった。
騒ぎが大きくなったせいか山本が所属してるチームが警察に連絡を入れたらしく警察から連絡が来た
「山本さんのチームの経営陣が会いたいそうだけど、どうしますか?」
「お断りします」
何度も断った。
でもチーム側も諦めずに何度もあたしにコンタクトを取りたがった
だから大我も一緒にいていいならって条件で渋々OKを出すと相手はすぐに条件をのんで面会の日取りがすぐに決められた。
場所はあたしの病室だった。
それが一番安全だったからそうしてもらったしチーム側としても人に聞かれたくないということだったから都合がよかった。
大我はあれ以来バスケの練習に行ってないのか、毎日学校が終わるとすぐにあたしの病室に来てくれてた。
大我には全く恐怖はなかったけどそれ以外の男の人は全員怖かった。
また同じことをされるんじゃないかって怖かった。
小さい頃から知ってた真太郎のパパのこともこの当時は少し怖くて、診察は看護師さんかママが同席してくれていた。
大我に事情を話して、あまりにもしつこく面会を申し込まれるから一緒にいてほしいって頼むと、その日も練習を休んで病院に来てくれた。
「みさき、答えたくないことは何も答えるな」
「うん。そのつもり」
「怖くなったらすぐに追い出すから我慢しなくていいんだからな」
「うん。ありがとう」
面会は土曜日だったから、大我はいつものように朝から来てくれて、あたしの身の回りのことをして、リハビリの為に歩こうとするあたしに手を貸してくれたり、あたしを元気付ける為に大好きなパトリックのメイクブックをアメリカから取り寄せて持って来てくれたりした。
「ごめんな…俺が一緒に帰ってればこんな目に遭わせなくて済んだのにな」
そしてまたこれを言う
何度も大我のせいじゃないって言っても、大我は毎日ごめんなってあたしに謝り続けた