第14章 黒須みさき16歳
恐怖で体が震えた。
「何で…」
「いつもデカい男といたから諦めてたんだけど、たまに一人になる日あったでしょ?だから近づくためにちょっとこいつらに協力してもらったって訳。吊り橋効果ってやつだよ」
悪びれることなく半分笑いながらあたしに痴漢を仕組んだことを話し始めた。
「離して。帰ります」
「はぁ?何言ってんの?それではいそーですかって帰れると思ってる?」
手首を握る手に更に力が込められて折れるんじゃないかと思うほど痛かった。
「痛い‼やめて‼何でこんなことするの?」
「何で?相変わらず鈍感だな。俺は女が思い通りになんないなんて気に食わねーんだよ。何が不満だ?勉強もできる、ルックスもそこらの男よりいい、サッカーで将来決まってて安泰で、俺に何の不満があるんだよ‼‼」
不満とかじゃない。
勉強もルックスも将来もあたしにとっては何の関係もない。
だた恋愛感情が持てなった。
「あたしは…」
「もう何言っても遅い。…押えろ」
山本の声で二人があたしを引き倒して押え付けられた。
なんとか逃れようと暴れるあたしの脚の間に一人が入り込んで、太ももにヒヤリとした何かが押し当てられた
「これ以上暴れたら、刺すよ?」
恐怖で一瞬にして体が硬直した。
「どれくらい痛いか試すか」
その言葉で押し当てられたそれが軽く引かれて、じりじりとした痛みが走った
「痛いっ‼お願いやめて‼」
皮膚が切られる感覚で、本当に殺されるかもしれない恐怖に支配されて、声も体もガタガタと震えてるのが自分ではっきり分かった。
「大人しくした方が身の為だ」
山本は薄ら笑いで見てるだけだった
「なんで?なんでこんなことするの?お願いだからやめて」
「なんでって?思い通りにならないのが腹立つからだよ」
「こんなことしてあたしが警察に行くって思わないの!?」
「証拠がなきゃ誰も信じねーよ。こいつの父親いろんなとこに顔がきくしな。なー悠斗」
「おしゃべりは終わり。胸もないし女としちゃ不合格だけどヤるだけならいいか」
「おーい。証拠残すなよ。これ!」
そう言って山本が二人に投げたのは医者が使うような手袋でそれがラテックス性だってことは匂いですぐに分かった
「やめて‼!アレルギーなの‼!そんなので触られたら死んじゃう!お願い‼‼!やめて」