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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


山本さんと電車に乗るようになって1か月ちょっと。
会話も弾むしサッカーのプロに入るって言う彼から聞くサッカーの話は楽しかった。


「ねぇ、土曜日ちょっと出かけない?」

「今週ですか?」

「うん。なんか予定ある?」

「いえ、大丈夫です」



彼を好きかと聞かれれば恋愛感情はなかったけど友達としては好きだった。
だからその誘いを断らなかった。



大我には朝ごはんの時に山本さんと出かけるってことを話したら「お前にその気がなくても向こうはお前が好きなのかもしれないんだから無暗に二人っきりになるなよ」って言いながらも、楽しんでこいよって言ってくれた。


練習に出かける大我を見送ってあたしも出かける用意をして家を出た。



駅のいつもの場所で待ち合わせて、ショッピングモールでちょっとお買い物してから山本さんがよくいくサッカー用品のある店に行った。

お昼を食べて映画を見て映画館を出ると冬のせいか外は時間の割に暗かった。

街頭を彩るイルミネーションを見ながら少し歩いた。


「俺さ、みさきちゃんが好き。最初は一目惚れだったけど、一緒に居るとすごい楽しいんだ。……俺と付き合ってもらえないかな?」


生れて初めて告白された。

驚きはしたけど、ドキドキはしなかった。

あたしは山本さんを恋愛の対象として見たことがなかった。
だからその告白にいい返事を返すことはできなかった。


「あの…すみません。あたしまだ日本の生活に慣れるのでいっぱいいっぱいで、ちょっと今はそういうの考える余裕がなくて…」



「そっか…こっちこそごめんね。けどみさきちゃんさえよかったら学校の行き帰りは今まで通りにしてほしいんだけど…ダメかな」


「全然ダメじゃないです。今まで通りお友達でいてください」


中途半端な断り方だった。
この時はっきりと恋愛対象じゃないことを伝えて会わないようにするべきだった。


人を好きになった今なら分かる

振られた相手に友達でいてほしいと言われることがどれほど辛いことなのか
自分が望んで友達でいたいと思えるならそれでいいかもしれないけど、自分を好きだと分かっていながら友達でいてほしいなんて言うのは真綿で首を絞めるような残酷な言葉だったんだと思う

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