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最愛 【黒子のバスケ】

第14章 黒須みさき16歳


秀徳に通い始めて1週間
電車にもなれたし日本の生活にも自分のルーティーンができてきた


『明日朝練の日でしょー?』

『おぉ』

『もう慣れてきたし電車一人で大丈夫だから時間合わないときは行き帰り別で大丈夫』


『そっか。じゃあ明日は俺先出るわ』


一緒に住んでるわけじゃないけど基本一緒の家
あたしの両親もそれを知ってるし大我のパパも知ってるけど別に昔からお互いの実家で遊んでたから今更何か言われたりはしない


お互いの家のカギを持ってるし帰宅時間が別々でも全然問題ない


でもこれが間違いだった


朝早くても、夕方時間が遅くなっても、あたしは大我と行き帰りするべきだった


早起きが嫌いなんて理由で、たった1時間長く寝たかったってだけであたしは自分で安全な方法を放棄した






日本に来てから1か月

一人での通学にも慣れた頃

朝の通勤ラッシュ



生ぬるい人間の体温が背中に張り付いてあたしのお尻をゾワゾワと気持ち悪く撫でられた。



ヤダ…

そう思うのに声は出なかった。
チラリと振り返って見た顔は若い男の人で力では到底敵わない



次の駅になったら逃げよう。


そう思って目を強く閉じて不快感に耐えて、今にも流れそうな涙を押し殺して唇をかみしめた。



次の駅名が聞こえて電車が減速し始めて、逃げる為に腕にかけてたスクールバックを胸に抱えた。


もうすぐ止まる。逃げられる。











「おい、あんた何やってんだ」


電車が止まる直前、そう声が聞こえて、あたしにあった不快感はなくなって、扉が開くと同時にその声の人に電車から降ろされた。


「大丈夫?」


「はい。すみません。助けて頂いてありがとうございます」


見られていたことが恥ずかしかったけど助けてもらえたことは本当にありがたかった。


「捕まえられなくてごめんね」

「そんなことないです。本当にありがとうございました」

助けてくれたんだからそれだけで充分だった。


「一応駅長室に行く?」

「いえ…大丈夫です。遅刻したくないので…」

「その制服初めて見るけど…学校どこ?」

「秀徳です。わたしこの間までアメリカにいて制服がまだなくて、これは市販のなんです」


「そういうことね!中学生にしては大人っぽいと思った。俺、白鴎だから秀徳なら駅まで一緒に行くよ」
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