第4章 揺れる心
緑間が俺の目を見ることなく席を立ったけど、はいそーですか。で引き下がるなら最初から呼び出さねぇ
「好きだ」
店内中の視線が集まったけど今はそんなことどうでもいい。
アメリカに戻る前にはっきりさせてぇ
「貴様…俺のことが好きだと勘違いされるだろう!」
「もう会わねー奴に何思われたって別に関係ねーよ。今は黒須の話だ」
慌てて引き返した緑間に座れって視線を送ると、何も言わずに席に座った。
「黒須が好きだ。だからお前を真太郎って呼ぶ理由が知りてぇ」
「…」
「誤魔化すなよ」
適当な言い訳で逃げるつもりだと察して先手を打つと、デカい溜息が聞こえた。
「詳細は俺からは話せない」
「チッ。…んだよ」
「だが、お前が今思っているような関係ではない。手短に言えば、うちの患者だ」
「は?」
「これ以上は言わない。みさきの名誉に関わることだ。俺の一存では喋らない」
言えないじゃなく言わない
喋れないじゃなく喋らない
ここまでだな…
緑間に続いて外に出ると、最後にあいつの目が鋭く俺を見据えた。
「みさきは誰よりも幸せであるべきだ。覚悟がないなら絶対に手を出すな。もし傷つけでもしたら、お前といえど容赦しない」