第13章 未来を掴む
「でもあたしの場合はあたしにも非があるでしょ」
「お前それ本気で言ってんのか?お前に非なんか少しもねぇだろ!」
「…」
「なぁ、頼むからそんな風に思うな。俺も緑間も玲子さんも、お前に非があるなんて思った事1度もねぇ」
「でも青峰くんはそうは思わないかもしれないじゃん。知られて嫌われるのが怖いの。隠して付き合って、後でバレたら絶対嫌われる。だから無理なの」
「青峰はそんなヤツじゃねぇ。お前、青峰の何を見て好きになった?顔か?それとも有名だからか?他の奴より稼いでるからか?」
「なっ!ちがっ…」
「だったらあいつの中身でちゃんと判断しろ!」
「だって分かんない!いい歳して、誰のことも好きになってこなかったあたしが突然好きになって、嫌われるのが怖いって思ったらいけないの?!」
「そうじゃねぇだろ!過去に縛られて自分の気持ちを誤魔化すなっつってんだろ!」
「誤魔化してない!」
「誤魔化してんだろ⁉ほんとは青峰と一緒にいてぇくせに、あいつと向き合うのが怖いから逃げてるだけだろ!自分が逃げてんのにお前が泣くのはズルいだろ⁉泣きてぇのは無理とか言われた青峰だろーが!」
いつもあたしには全然怒らなかった大我が、声を荒げて、あたしの決めた事を真っ向から否定するなんて初めてだった
だけど…
あたしだってちゃんと考えた。
青峰君に幸せになって欲しいし、過去を知られて必要以上に嫌われたくない
「…泣いてない。大我にはあたしの気持ちなんて絶対分かんない。何度もやめてほしいって頼んだのにあの人たちはやめてくれなかった!あんなこと好きな人に知られたくないし隠して付き合うなんて絶対できない」
「なぁ…忘れろなんて軽々しく言うつもりはねぇし、俺はお前の気持ちを完全に理解してやれるわけじゃない。でも感じ取ることはできる。怖かっただろうし痛かっただろうし辛かったはずだ。けど乗り越えてほしいと思ってる。お前がちゃんと幸せになってくんなきゃ俺だって安心できねぇよ。…青峰は、他のどんな奴よりもお前を大事にしてくれる」
「…」
「別に今すぐ全部話さなくても、きっといろんなこと感じ取ってるから、NYでもお前に手出さなかったんじゃねぇの?好きな女といて手出さないなんて男にとって生半可なことじゃねぇんだぞ。お前に手を出せる状況でも出さなかったその意味を、お前自身がちゃんと考えろ」